2017年12月01日

獲物との駆け引き(後編)

さて、今回は現地での実技編です。

今回書く事は自分が実際教わった事や、自分が感じた事です。

なので、もっとレベルの高いハンターさんや、自分にいろいろ教えてくれた自衛官の上官(先輩方)などなど、すごいスキルを持った方々がたくさんいらっしゃいます。

そんな数ある技術の内の一つと受け取っていただければなと思います。

まず山に入っていくわけですが、その前に一つ重要な事を頭に叩き込みましょう。

それは・・・

※体力は有限である事

当たり前の事ではありますが、ついつい獲物を追っていたり、猟果が無いと無理をしがちです。

体力が無くなれば、普段にできている事が出来なくなり、感覚も低下し、冷静な判断もできなくなるものです。

訳ない距離を外す、平地で足がもつれる、枝が顔に当たりだす、銃がよく引っ掛かるようになる。

他にもいろいろありますが、こういったサインは普段意識せずともできていた事が、体力が低下し、体や脳ができなくなってきているというサインです。

そして登山でもそうですが、体力の減りが早いからと言う理由や、疲れやすいからという理由で装備を減らしたりされる方をたまに見かけます。

ですがこれはNGです。

いろいろ考えたうえで、装備を選定していく事は重要ですが、疲れやすいからという理由で下ろすと当然必要な時に必要な物が無い状態ですので、非常に危険です。

装備が重く感じるという事は、行った山、もしくはルートやペースなどが自分にはまだ早いという事です。

なのでそこは注意しましょう。

そして自分はいつも、体力と足をレベルで管理しています。

山に入れば足の筋力を使い消耗すると、比例して体力も消耗していきます。

10は足の消耗はありません。

0は立てないレベルです。

レベル管理をすると、足を後半に残しておく事ができたり、前半に無茶をして、昼から動く範囲が減ったりという事も少なくなり、また帰って反省する時でも、あの時もう少し迂回していたら後半歩けたかな、など考える時にも役立ちます。

なので足や体力のレベル管理はオススメです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回お話するメインは歩き方(スニーキング)です。

自分もいろいろ教わり、実践してきましたが、その一部を紹介したいと思います。

まず歩き方もレベルで分けています。

5 通常の歩き方(基本山では使わない)
4 足音に注意を払い歩く、ペースは少し遅い程度
3 忍び足で枝に注意して歩く、ペースは状況による
2 忍び足で音を極力ださないように歩く、ペースは鹿が歩く以下のペース
1 忍び足というよりも足から足への体重移動のごとく歩く

主にこういった形にしています。

現地の状況、相手との距離などで変えていきます。

では3から説明していきます。

忍び足で重要な事は靴底をいっぺんにつけない事です。

靴先から、かかとから、小指側から、いろんな歩き方がありますが、靴底の形状や、その人のバランス感覚、体重などで、できるやり方、できるけど安定感に欠けるなどがあります。
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なので、まず自分が猟で使う靴で、一番静かで安全な着地方法を見極めて下さい。

最初はペースも遅く、なかなか歩く事以外に集中できませんが、慣れてくると、意識せずに普段でもできるぐらいになります。

あと忍び足がしやすい靴、しにくい靴があります。
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ぶかぶかだったり、硬い靴でハイカットなんかはやりにくかったりします。
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(自分が所有する登山靴は硬いので、忍び足には不向きです)

音を消すというだけに特化するなら足袋系をオススメしますが、デメリットも多いので、それは人それぞれかなと思います。

そしてペースですが、3では周りの状況や、目標物との距離、風向きにもよりますが、いつでもレベル2に下げれるようなペースで歩きます。

そしてレベル2ですが忍び足は先ほどと一緒ですが、ここでの最大のポイントは鹿が歩くペース以下
という所です。

鹿が歩くペースは結構遅いです。
犬無し忍び猟で、巨体三段角発見!距離約30m

そのペース以下で歩くと、匂いさえ届いてなければ、意外と多少音が届いてしまっても警戒されません。

なのでペースを意識して歩きましょう。

そして1ですが、これは獲物との距離が非常に近くなった時の状態です。

基本は動かない方がいいですが、止まった所が射撃姿勢のとれる位置だったり、射線がとれる位置とは限りません。

そういった時に歩くというより、足から足への体重移動という感じで動きます。

歩き方(体重移動)のやり方は片側に重心を移動し、もう片側を比較的近い位置に静かにつま先側から着地させ、ゆっくり靴底をつけていき、靴底が全て着いたら、ゆっくり重心を移動していくというものです。

ポイントとしては、つま先を着地させる場所です。

遠いと重心をゆっくり移動させにくいので、ゆっくり移動できる最大の幅を事前に探っておきましょう。

いろいろ書いてきましたが、まだまだ歩くだけでもいろいろな技術があります。

重心を分散させる方法や、体全体で吸収する方法、体の姿勢の変化、足首や足の指の使い方など、あげていくと非常に長くなるので、今回はこの辺にしておこうと思います。

またいずれお話しする事もあるかもしれませんので、また楽しみにしていただければなと思います。

さて今回歩き方に重点をおいてお話ししてきました。

じゃあ山に入ればレベル2ぐらいで、ずっと歩いていたらいいんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、忍び足を真剣に続けると、足や体力を結構使います。

慣れていないとさらに消耗しますし、山を歩くのに必要な技術は歩く事だけではありません。

体力や足、時間は有限です。

その事をふまえ、状況に応じて上手く使い分ける事が難しく、重要だと思います。

自分もついつい張り切り過ぎ、前半で多めに使いすぎて、後半歩き方が雑になったりなんかします。

自分もまだまだだと言う事ですね(笑)

猟はいろいろ教えてくれて、自分を向上してくれていると思います。

そうした中で、いろんな方といろんな事を共有できたらなと思っていますので、より安全に楽しく猟ができるように、これからも頑張っていこうと思います。


獲物との駆け引き(番外編)を書こうかなと考えています。
迷いましたが、少しでも参考になればいいかなと思いましたので、また近々見て頂ければなと思います(笑)


歩くだけでもいろんな技術があるんだね!
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posted by Yu at 06:25| Comment(2) | 忍び猟のスキルとは | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも参考にさせてもらっています!
スニーキング、、、自分はまず自分のオモリをそげ落とさないとです^^;
今期はもうだめなんで。。来期は必ず!
Posted by ふかひれ at 2017年12月02日 22:20
コメントありがとうございます!
冬になるとどうしても美味しい物も増えて、オモリが付きがちですよね(笑)
今季もあきらめず頑張りましょう!
Posted by Yu TLR at 2017年12月03日 14:21
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