そして夕方の残り1時間半だけ、勢子長と2人で忍び猟へ。
残念ながら忍び猟でも獲物は無く、見かける事も無かったですが、2人で忍び猟をするのは初めてで、お互いある程度見える位置にいたり、少し離れたりと、2人ならではの楽しみ方ができ、さらに美味しいキノコも発見されたようで、自分も新しい場所開拓もできた事もあって、短時間でしたが楽しい忍び猟でした。
複数人で動く時と、単独で行う時とではまた違った動きが重要なので、いつかそんな話しもできたらなと思います。
さて、あの日はさらに貴重な体験をしてきました。
それは罠に入った鹿の止め刺しです。
しかも自分がナイフでさせて頂きました。
本当に忘れられない日となりました。
午前中の巻き狩りを終え、昼から2ラウンドかな?と思っていると、猟長から罠にかかっている鹿がいると言われ、猟師5人で罠へ向かいます。
するとそこにいたのは、箱罠にかかった3段角でした。
野生の元気な3段角をこれだけ近くで見たのは初めてです。
自分達が近づくとすごい勢いで暴れ始めました。
そんなに箱罠自体が大きくないので助走距離もないのに、すごいパワーです。
箱罠に突進した瞬間この何十キロもある罠が少し浮き、扉も開きそうな勢いです。
さらに自分が近づくと自分を睨み頭を向けてきました。
この姿を見た瞬間、自分は今まで鹿を少し甘く見ていました。
昨年の初年度、何頭か鹿を獲り、全て1発で膝をついたので、弾を入れたままそのまま近づき、起き上がれそうになければ、鹿の前で弾を抜いて、そして頭を持って首の頸動脈を切っていました。
なので心の何処かで鹿はそこまで怖くは無いと・・・
ですが今振り返ると、昨年撃った鹿は、全て弾が首に当たっていたので良かったものの、もし違う部位に当たっていてまだ力があり、自分が油断して弾を抜いてる時などに突進されたら、重症を負っていたような気がします。
たぶん弾を抜く作業も、全て鹿の顔の前でやっていたと思います。
追い込まれた動物は最後の最後まで油断するな、そう思わせてくれました。
そして、止め刺しに入ります。
本来でしたら電気槍があるそうですが、壊れているらしく、ナイフでとなりました。
来ていたハンターさんが槍ならあるよと言っていただきましたが、ナイフの方が慣れているのでナイフでさせてもらう事に。
そして返り血も浴びるかもとの事で、雨具もお借りしました。
そしていよいよ止めに入ります。
猟友の方がワイヤーで首の動きを封じ、刺しやすくしてくれました。
それでも大きな3段角は抵抗し、動こうとします。
ワイヤーを持たれてる猟友の方は、体格も良くパワーもありますが、それでも首を返そうと、微妙に動きます。
これが野生の力か・・・と見つめながら首に狙いを定めます。
後ろから残酷や~、ひどいわ~、良い死に方せんわ~と言われながらナイフを構えます。
頸動脈の位置は昨年散々切ったので分かります。
そして・・・・
ドスッ
ブウッオオオオ~!
大きな声で鹿が鳴き刺さります。
動こうとしたので、さらにナイフに力をこめると血が流れだしたのですぐさま抜きます。
すると真っ黒な血が勢いよく流れだしました。
後ろから入った!と声が聞こえ、さらに血が溢れ出てきます。
猟長からもう少し下に開けば絶命も早いと教わり、鹿を目の前で見つめます。
鹿はまだ立ち上がろうとし、自分を威嚇します。
少ししたら膝をつき始め、命が終わってゆくのが分かります。
たしかに、この光景だけ見ると残酷で、かわいそうだとも思います。
自分も動物は好きですし、猟をやるまでは鹿は見るだけの対象でした。
なのでこの作業を好んでやりたいかと言われると、答えはNOです。
動物を殺すのはやはり良いものではありません。
ですが今まで釣った魚も同様、誰かがその作業をしなければ食卓には並ばないわけです。
最初から切り身が動いているわけではありません。
そして鹿の目を見ていると、今この鹿は何を思っているのだろうかとも感じました。
少なくとも、自分は恨まれる対象である事は間違いありません。
そして首が落ち、5分ほどで絶命しました。
そこから搬出し、解体を終え、命から肉へ。
今日も鹿と山の幸に感謝したいと思います。
初めて罠に入った獲物を見て、そして止め刺しをさせてもらいましたが、本当に貴重な体験となりました。
今まで以上に、普段からの食事に感謝し、頂きたいと思います。
普段何気に食べている肉も、誰かが同じ作業を行ってくれているわけですから。
そして初めて獲物を刺したTOPSのナイフ。
刺さり方、そして何よりびくともしない剛性が、非常に良かったです。
この日を忘れず、これからも安全に楽しく猟を行っていけたらと思います。
命から肉へ、貴重な体験だったね!
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ただこの経験を経て命に感謝する気持ちになりました。銃だと実感ないっすからね
僕は可哀想な気持ちになるので、最近は心臓からいってますね。多少味は落ちるかもですが!
ただその気持ちが大事なのかなと思います。
自分は心臓が動いていた方がよく血が抜けると教わり、極力狙うのも切るのも首にしています。
心臓はまだ撃った事も刺した事もありませんが、やはり心臓の方が絶命は早いんでしょうか?
これからも命に感謝し、学んでいこうと思います。
「残酷」「可哀想」というのも確かですし、誰かがやらねばならないし、それがハンターに求められているというのも確かですしね。
読ませて頂いて、命に対して改めて感謝しなくてはならないと思いました。