今回も解体体験をしてみたいという方が2人ほどいらっしゃいましたので、いつも以上に気合を入れて出猟。
本来でしたら同行も希望されていましたが、今回獲る予定の場所が山頂付近で、傾斜もきつく難しい場所でしたので、それは安全の為にもお断りし、解体体験だけとなりました。
日の出前に到着し、着替えと準備体操を終え山頂に向かいます。
今回は鹿狙い、またも寝屋前に日の出ちょうどぐらいに入り待つ作戦です。
この山はいつも鹿の気配が濃いので、寝屋の特定は早いです。
登っていき、あと少し登って尾根にでてという所で・・・
猪跡・・・しかもサラだ!
跡がくっきりで、尾根をまたぐ感じでのびています。
・・・
この山でこれだけくっきりあるのは珍しいので、跡を追ってみる事にしました。
そこから山頂下をずっとトレースし、ゆっくり歩いていくと前に薄暗い林が見えてきます。
怪しいなと歩みを止めGPSで地形確認。
するとそこだけ斜面から少し盛り上がった地形になっています。
ますます怪しい・・・
音に気を付けながら歩いて止まり、歩いて止まりを繰り返していきます。
そして薄暗い林に入って少し下ると・・・
おおお、鼻跡だらけ!
ここはかなり濃いようです。
これは期待できるかもと周囲をさらに確認します。
すると、さらに少し下った所に薄いブッシュがありました。
あそこも怪しい・・・
とりあえずそこのブッシュが射程に入れれる位置で少し待ってみようと、飛行機の音などを利用し待つポイントを探ります。
そして到着し、待機。
周りの斜面より少し高い位置になるので絶好の狙撃ポイントです。
さあ、きてくれるのか・・・
そこから数十分後・・・
ガサササ・・・
ガサ音・・・何かいる・・・
と思ったらすぐ大きな足音に変わりました。
何か大きな物がくる!
すると大きな猪が走ってきました!

いた!本当にいた!
向いの大尾根にいたのか!
すぐ構えます。
猪は自分の2本下の獣道をこちらに走っています。
少しこちらが高いので見えなくなりました。
獣道の出るポイントはよめる、バックも問題ない、後はタイミング!
獣道を登り、頭が出る瞬間を狙います。
・・・
ガサッ!
見えた!

ドン!
大きく猪は横転し、下に転げ落ちていきます。
ヘッド手応えあり!
ゆっくり近づいていきます。
多分頭に入ったし、あの転倒の仕方なら大丈夫かなと歩みを進めると・・・
グオオオ・・・
!!!
まじか!
すぐ弾をホルダーから抜き装填します。
猪の唸り声が聞こえます。
この低い唸り声・・・
やばいぞ・・・
薄いですがブッシュに落ちたので場所がすぐ分かりません・・・
何処だ・・・
いた!
スコープを覗き込むとブッシュの中で猪が立っています。
マジかよ!
何度もスコープを見直し、頭に着弾しているのを確認。
大きいとはいえ、頭入ってるのに立つのかよ・・・
これ以上前に進んだら飛ばれるか、最悪反撃の危険性があると感じもう一度頭を撃つ事に。
慎重に倍率を最低にして・・・

発砲!
ドン!
猪が横たわりました。

ようやくか・・・すごいな・・・
獲れた安堵感と猪の強さに脱帽し、拝んでいると・・・
ガササ!
おいおい!まだ動くのかよ!
猪は斜面を転がっていきます。

こいつは本当に強すぎすだろ!
すぐナイフを抜き最後の止めさしと血抜き。
心臓に入ったからか血が吹き出るように大量に出ます。
ふ~、本当にすごい奴だ・・・
これで本当に終わった・・・かに見えましたが、体を震わせながらさらに走ろうとします。
こいつ!化物かよ!
必死に抑えますが、傾斜がきついのと猪の強さに押されだします。

くそっ!足が滑り出した!抑えきれない!やばい!
と思ったら、猪が最後の踏ん張りを見せ、自分が下になり斜面を滑り落ちます。

くそっ!踏ん張れ!踏ん張れ!とこちらも手と足に最大限の力を入れようやくストップ。

猪はここでようやく止まりました。
美味しそうなメス猪です。
そして着弾を確認しましたが、耳の下に1発。
耳の後ろに1発入っていました。
息がきれ、いろいろ思う事がありましたが、とりあえず落ち着いて連絡。
昼前に体験者さんがこられる予定でしたので、猪が獲れた事を伝え、体験者さん達を待ちます。
少し時間があったので予定の鹿の寝屋を確認しましたがさすがに獲れることもなく、その後猪を引きずり解体と搬出がしやすい山の下を目指します。

傾斜がきついので下りる分には楽でしたが、横の移動は大変でした。
ある程度搬出がしやすい所まできたので猪を置き体験者さん達と合流。
今回は以前来て頂いた医療関係の方と、フレンチのシェフさんです。
my包丁も持ってこられて気合十分。
AEGさんの解体ハンガーを使用し解体に入ります。
この解体ハンガーで猪は初ですが、猪でもバッチリ上がりました。
ただ重みがあったので、今までの鹿みたいに片手では上がりませんでしたが、それでもこの重さを一人ですっと上げれるのはハンガーの滑車部分の仕組みが機能しているからだと思います。
そして着替えて作業開始。
ある程度やり方をお伝えするとさすがシェフさん、のみこみが早く猪にためらいなく包丁をいれていきます。
医療関係の方も時折筋肉や、内臓の名称などを確認しながら解体を進められていました。

皮が剥ぎ終わった所で遅い昼食をとります。
ついでに解体中の猪の肉を少し焼いて食べてみましたが、全く臭みはなく甘くて香ばしい脂が口に広がりました。
と、そんなこんなで解体をすすめていくと、あっという間に日の入り時刻に。
解体を終え、埋設し注意しながら下山。
肉は凄まじく重く、骨も持って帰っているのでカバンのヒモが肩にくい込みます。
なんとか車まで帰り体験者さん達と別れて帰宅しました。
疲れていたのでその日はある程度処理して終了。
次の日からじっくり小バラシの作業を行いました。
かなり時間がかかりましたが美味しそうな肉の山が・・・。
そこからというもの、近くのホームセンターで大鍋を買ったり、今ある冷蔵庫と冷凍庫には入りきらなかったので、新しく冷凍庫を買ったりなど料理に夢中です。

まずはカレー
30人前以上作りました。
地元の友人達を呼んでカレーパーティー。
みんな大絶賛でした。
そして次は骨を使ってダシをとり猪骨スープを。
一晩煮込んだら濃厚なスープが完成しました。
次は角煮。
圧力鍋で卵とネギと一緒に甘めに煮込んだら絶品な角煮ができました。
最後にスープと角煮を使い、猪ラーメン。
スープの濃厚さと角煮の甘さがマッチして、最高のラーメンができました。
美味しい猪料理づくしな毎日で、本当に猟をやっていてよかったなと思います。
凄まじく強かった今回の猪に感謝し、また残りの猟期頑張っていこうと思います。